40代の約7割が悩んでいると言う、つらい腰痛対策
腰痛は治らない、ってホント?
腰痛は治らないから、
少しでも症状を緩和できるように
マッサージや整体、鍼灸院などに
頼る人が多いようです。
確かに以前は、
腰痛は治らない、
原因がわからない、といわれてきました。
でも、きちんと調べると8割の腰痛は原因がわかります
と言うのは、
札幌医科大学医学部整形外科学講座
教授の山下敏彦先生です。
大まかな目安として、
安静にしていても痛みがある、
体重減少がある、
発熱がある、
足のしびれや痛み、
麻痺などがあるという場合は、
がんや大動脈瘤、
脊椎炎などの可能性がある危険な腰痛。
できるだけ早く病院で原因を定め、
治療することが必要だ。
とはいえ、そういうケースは全体の1%ぐらい。
また、
足のしびれや痛み、
麻痺など神経にさわる症状がある場合は、
腰椎椎間板ヘルニア、
腰部脊柱管狭窄症、
椎体圧迫骨折(骨粗鬆症)
などの可能性があるが、
これも全体の20%程度。
残りの約80%は、
深刻な原因ではない腰痛に属すると言います。
「腰痛の人に多いのは、腰が痛い→かばって動かない→より痛くなる、という図式。痛いからといって動くのを制限すると、筋力や柔軟性の低下、体重増加により、腰痛はさらに悪化します」
しかし、
腰がもっと痛くなるんじゃないかと
怖くて動けなくなるのが一般的な心情です。
ストレッチなどの軽い運動を生活の中に取り入れてみましょう
「ところが最近の腰痛研究では、それが逆であることがわかってきました。運動療法は鎮痛剤よりも効果がある、という研究報告が学会などで出ているのです」
運動療法による痛み緩和の調査は、
まず変形性膝関節症で行われました。
運動療法と鎮痛剤の効果を比較した結果、
日常の動作における痛みやこわばりは、
運動療法のほうが改善効果が高かったと言うんです。
この調査は慢性腰痛でも行われ、
同じ調査結果が報告されています。
「これは、運動によって患部の筋肉がほぐれるというだけでなく、脳が関係しています。運動をすると楽しくなり、それによって脳からは、やりがいや快楽を司る脳内伝達物質のドーパミンが分泌されます。このドーパミンは、μ-オピオイドという脳内鎮静物質の分泌を促します。例えばスポーツ選手が、怪我をしているにもかかわらずプレイを続けられるのも、この物質が出ているからといわれます。自分の脳から上手に分泌できれば、痛みを緩和させる効果があると言うわけです」
運動といっても
激しいものである必要はなく、
ストレッチでOK。
痛みでこわばっている筋肉を
伸ばしてほぐして、
機能を回復してあげる程度の動作で充分です。
部位としては腹筋、背筋、股関節まわり、
太ももまわりをストレッチするといいという。
「腰痛を感じたら、無理がない範囲で少しストレッチしてみる。それで痛みが軽減したら、心配のない腰痛。運動不足を自覚して動くことを意識するだけで、症状は徐々に改善されるはずです」